2010年12月11日土曜日

⑬胡弓のお話

前回、三曲合奏についてのお話を書きました♪
その中で、「胡弓」との合奏に触れました。


「胡弓」というと、
少し前に流行りました「二胡」という中国の楽器を
イメージなさる方が多いというのを読んだことがあります。


実は、「弓」で弾く楽器のことを指して「胡弓」と呼んでいる様で、
初めてヴァイオリンが日本に入って来た時にも「胡弓」と呼んだそうです。

名称として「胡弓」と言いますと、
日本の楽器のことを表します♪
     
では、中国の「二胡(あるふー)」と日本の「胡弓」は、
どこが違うのでしょう?




二胡は、
水を汲む柄杓の形をしています。
胴には蛇皮を張っていて、弦は、金属で出来ています。

日本の楽器、「胡弓」は、
沖縄の胡弓は蛇皮を張り、形も異なりますが、
その他の胡弓の形は三味線型をしています。





















写真の胡弓は、地歌・文楽・歌舞伎・民謡などに使われていまして、

三味線よりもかなり小振りで2/3ほどの大きさで

弦は、三味線と同じ様に絹糸で、皮は猫が多いです。

その後、宮城道雄が考案した「宮城胡弓」はもう少し大型です。

弓は、「二胡」も「胡弓」も馬の尾ですが、

日本の胡弓の弓は、
かなり緩く張ってあり、演奏時には引っ張って張力を与えながら弾きます。

まだ、三味線のことを書いていないのですが、
三味線が沖縄に伝わり、沖縄から本土に入って来た時には
やはり蛇皮が張ってあり、丸い形の胴をしていたとのこと。


本土では捕れない蛇の代わりに
猫の皮を張る様になったのですが、
伝来がよくわからないとされている胡弓も、
関係があるのでしょうか??

2010年11月25日木曜日

⑫ 三曲合奏についてのお話

今回は、演奏会等でよく見受けられる、
琴、三味線、尺八の合奏についてです。



江戸時代より行われてきました、
三味線による座敷音楽と、家庭音楽を「地歌」といいます。

そして、八橋検校(1614~1685)から始まった、近世箏曲があります。

初め、「地歌」と「箏曲」は、
全然 別のジャンルとして それぞれ発展していきました。

生田検校(1656~1715)がきっかけで
「地歌」と「箏曲」の交流が始まりました。

初めのうちは、
三絃(三味線)のメロディーと
全く同じものを 箏(琴)が弾いていました。

その後、
三絃が先に作曲されたのを受けて、
より合奏が趣きある様に…と、
合奏用に箏の手が作られていきました。

江戸中期になりますと、そこに胡弓が加わりまして、





箏・三絃・胡弓による合奏が行われる様になりました♪

戦国時代が終わり、
急増した浪人たちが「普化(ふけ)宗」を立てて、
尺八を演奏し、托鉢をして生活いました。

明治4年に普化宗が廃止されると、
職を失った虚無僧(こむそう)たちは、
尺八奏者として一気に広がりました。

そして、胡弓が弾いていたメロディーを、
尺八が演奏するようになり、
箏・三絃・尺八による合奏もみられるようになったのです。


一気に尺八奏者が広がった為でしょうか、
胡弓よりも尺八が普及しやすかったのでしょうか、

箏・三絃・尺八による合奏の形の方が現在、
多く見受けられるようになりました。

箏・三絃・胡弓による合奏、
箏・三絃・尺八による合奏のどちらも
「三曲合奏」というのですが、

洋楽の三重奏とは違って、
三曲合奏では、三つの楽器の音色の融合の美しさが問われます☆


2010年11月17日水曜日

⑪お箏の弾き方ー荒城の月ー

お琴の弾き方の基礎のシリーズです

今まで、回を分けて
琴柱(ことじ)」のこと
」のこと
弦の呼び名」のことを書きました♪


箏(琴)は、13本の弦に琴柱をかけて立て、


     









琴柱を動かして調弦をして、
右手の親指、人差し指、中指の3本に爪をはめて弾く楽器です☆

箏(琴)は、13本の弦(糸)があるので、
13個の音で、まず弾くことができます

そして、その絃を半音上がった音で弾きたいとき
琴柱の左側を左手で軽く押します。

一音上がった音を出すときはもっと強めに抑えます(^_^)v


     

















これは、「押し手」というのですが、
この押し手をして音を上げ、
13本では足りない音を作りだして
三絃(三味線)との合奏に合った音も出すことができますし、

少し前に流行った「冬のソナタ」の様な曲も弾けるのです♪


「平調子」という基本の調子にふれてきましたので、
「平調子」で弾くことのできる
『荒城の月』の楽譜を下記にご紹介します。


「押し手」の表記は
「ヲ」がついている時には、半音高い音を出す印
「オ」がついている時には、一音高い音を出す印
として書かれています。



   『荒城の月』

十 十 為 巾 ヲ巾 巾 為  はるこうろうの  
 
斗 斗 十 オ九 十       はなのえん

十 十 為 巾 ヲ巾 巾 為  めぐるさかずき

斗 オ九 十 十七        かげさして

九 九 八 七 斗 斗 十   ちよのまつがえ

オ九 十 斗 斗十        わけいでし

十 十 為 巾 ヲ巾 巾 為  むかしのひかり

斗 オ九 十 十七        いまいずこ


実際に弾く場合には、
間に、休符が入ったりするのですが、
そのお話は、またの機会に。

2010年11月6日土曜日

⑩六段という曲について

お箏のお稽古を始めて、
指の練習のような小曲集からはじまり、
やっと、お箏らしい曲を習える・・
その始めの曲に「六段」があります。

今日はその六段についてのお話です。


第2回のコラムで、
芳しい 京菓子の「八つ橋」と共に、
八橋検校(やつはしけんぎょう)のお話と
代表作の「六段の調」についてふれました



そして
「糸竹初心集」や「糸竹大全」の中に掲載されている
「すががき」と「りんぜつ」とを
八橋検校が、発展させていき

「六段の調」や「乱輪舌(みだれりんぜつ)」などの段物を作ったのでは?
とされてきました。

そして、もうひとつ
八橋検校や前回コラムに登場した政島検校が参考にした、
「糸竹大全」「糸竹初心集」は、以前より、
中国の明楽や、
キリシタンとともに伝来したルネッサンス音楽の影響が指摘されていました

雑誌 邦楽ジャーナル10月号で  
箏演奏家の坪井光枝氏と
音楽学者皆川達夫氏
の研究した内容が掲載されておりました



それは、
九州の久留米にある善導寺に7歳の時に入門した賢順
(けんじゅん 1534~1623)という人がいます。
この、善導寺では管弦演奏の奏者育成がなされていて、
ここでの勉強のみならず、
様々な方から学び、自らも作曲して
「筑紫箏(つくしごと)」と人々に呼ばれるようになりました。

賢順の箏に心惹かれた 豊後国大名・大友義鎮(よししげ)は、
善導寺に要請して賢順を豊後入りさせました。
豊後は、キリスト教が定着しており、
流行歌さながらに子供達が歌うほど、キリスト教の音楽が浸透していました。

そして、それらの曲を箏で演奏したいと思い、
賢順が『六段の調』 『乱』 『八段』 を作曲したと考察されます。

1587年に豊臣秀吉によって発布された
キリシタン禁制令により、キリシタンは苦難を強いられておりましので、
作曲した上の3曲を秘曲として外部に出すことをしなかったが、
二人の弟子のうちの玄恕のもとを八橋検校が尋ね、
秘曲を伝授され、京に戻ったとされています。



「クレド」という、
グレゴリオ聖歌のメロディーに乗って歌われてきた信仰宣言があります。
そのクレドと『六段の調』が、
全体の寸法だけではなく、フレーズの区切れにも当てはまります。
そしてそのままでは、キリシタン音楽とわかるので
「平調子」を考察して、音階をかえてまで秘曲を演奏したかったのでは
という説。

一方
キリシタン音楽を禁制令只中の八橋検校が耳にするのは難しいのでは?
という観点、

いまではYoutube とかでも検索できるので
さっそく師匠と聴き比べましたが、、
私的には・・・???
どうも解釈に無理がある感じがしましたが、、
みなさんはどうかしら?

クレド で検索すると出てきます。

賢順の二人の弟子のうちの もう一人の法水が
江戸に出て琴糸商となり八橋検校と出会ったのが
筑紫箏と八橋検校との出会い、という説もあります。




六段の調べ&乱 輪舌
尺八・箏合奏
¥2,000

2010年11月1日月曜日

⑨ お箏が出来上がるまでのお話

今回は、箏ができるまでの話を書いていきます♪

先日、新しい箏(琴)を、いくつか見る機会に恵まれました(^^)


どれも美しい木目で、見ているだけでうっとりしておりました。
一面一面の木目の違い…
それは、箏の音の違いにもつながります♪♪

箏は、「桐」という、日本になじみの深い木から作られます。
「桐」は、飛鳥時代に中国からもたらされ、
以来、湿気の多いこの国では、
生活用具でもなくてはならない木材でした

また、「鳳凰が止まる木」、
「喜びをもたらす木」として、古くから大切にされてきました。

皇室の菊に次ぐ紋は、
桐紋なのはご存じのことと思います☆
たわわに咲く桐の花と、大きな葉を象った紋ですね。




そして、500円玉の裏にも模様が!


桐タンスが嫁入り道具…というのは、
桐の成長が速いので、20年程で大木になる。
庭に植えて、嫁に行くときに切ってタンスを作って持たす、という風習から(^o^)

湿気から守ってくれる優れた材質の桐は、
楽器にしてもその音色は素晴らしく、
アジアの楽器の多くで使われていて、
和楽器でも、琴だけではなく、
琵琶、笙にも用いられております♪


さて、箏の本体を作るには~
寒い荒れ地に育った、
樹齢20年以上、直径30㎝以上の木目のしまった木を切り出します
  ↓

数年乾燥させます
  ↓

表面に丸みをつけた大きめの箏の形に切り出します
  ↓      <桐屋の仕事>
  ↓

桐屋から、買い付けた箏材を
さらに1年ほど外に放置して乾燥とあく抜きをします
  ↓

カンナを箏の裏の部分からかけて、
船のような形にくり抜きます
  ↓

響きをよくする為に綾杉と呼ばれる模様を彫ります

  ↓     

裏板をつけます
  ↓

表面は焼きゴテで焼いた後、
鉄ブラシをかけて「との粉」で磨いて仕上げます
                   <琴屋の仕事>


ざっと書いたのですが、
こまかい部分を作る作業、飾りを施す作業をして完成するのです♪♪

桐が樹齢を重ねる中で、
気象条件の変化に会い、年輪が不揃いになると、
こうした円形の木目が幾つも現れた箏ができるのです(^o^)

それだけで音色が ひと味変わったりする

自然が作り上げた音色のすばらしさに
富士喜会のお仲間と触れられる幸せを感じつつ・・・