2011年1月5日水曜日

⑯除夜の鐘と 壱越(D)のお話


お箏と三絃の調弦をする際、
調子笛で、Dの音を基本にする場合が多いのですが、
今日はその D の音 のお話です。

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大晦日から 「除夜の鐘」を聴きつつ、
新年を迎えた方もいらっしゃると思います(^_^)/
梵鐘の いつまでも続く余韻を聴いていると
今年は こんな一年だったなぁ…
そして 「あぁ、一年こうありたいなぁ~」と、
日付が変わり、新年を迎えた時刻に
鐘の音を聴くとしみじみ思うのですが、


あの、大きなお寺の鐘(梵鐘)は

「壱越(いちこつ)」という高さの音がする様に作られるのが基本です☆


    





「壱越」というのは、英米音名、ドイツ音名で言いますと「D」にあたります。
そして、読経をしながら打ち鳴らす
「キン(磬)」も
壱越の高さに音が鳴る様に作られています。



この、「キン」は、
読経の声の高さの目安の為の「音叉」の役割と、
叩く速さで、読経のの速さを表しているとのこと。


さて、
筝(琴)や三絃(三味線)の調弦をする際に、
調子笛を使って 「一を壱越の音の高さにして…」
という曲は多いのです。


    
上記は、『七小町』という曲の楽譜の一部です。

ここには、「こうやって調弦する」ということが書かれているのですが、


三絃の「一の糸」
=尺八の「ロ」
=筝の「一」 となるように調弦する、
と書かれているのです。
(※都山、琴古と書かれているのが尺八です)

尺八の「ロ」は、壱越の高さなので、
三絃の一の糸も、筝の一も壱越の高さにして
調弦してくださいと書かれているのです。


どうして壱越(D)を基本として調弦するのか
もともと、琴も三絃も中国由来だからかしら~?

と文献をあたったのですが、
明確な理由には出会えませんでした(+_+)


歴史を見ると、僧の方とも関わりがあるので、
梵鐘やキンの音、読経の声の高さに秘密がある様な(^^)
心に響く音が、壱越(D)だったのかもしれないし、
心地よく感じる音が壱越だったのかもしれません♪♪

除夜の鐘の後は、正月の獅子舞を堪能したいです~(*^。^*)
このコラムでもご紹介いたしました『八千代獅子』
お正月はとくに、お店などでも耳にいたしますね♪

この曲は、歌のない部分が先に作られて、
後から歌がついたという説があるのですが、

「後唄」という、終わりの方に出てくる歌は

 ♪ 雪ぞかかれる 松の二葉に

   雪ぞかかれる 松のふたばに
 
という、今の時期の景色にぴったりな歌詞なのです☆