『新浮船』という曲のお話です。
「新」とついておりますのは、この曲が作曲される以前に、
『浮舟』という曲が作られておりますので
区別する為についております。
歌詞は、源氏物語 宇治十帖の中の「浮舟」の物語を題材にしています。
<歌詞>
まれ(め)人の 心のかをり 忘れねど
色香もあやに咲く花の あだし匂ひにほだされて
包ましき名もたちばなや
小島が崎に誓ひてし
其浮船の行方さへ いざ白波の音すごき
身も宇治川の藻屑とは なりもはてなで世の中の
夢の渡りの浮橋を たどりながらもちぎりはあれど
すずしき道に入れんとて 現にかへす小野の山里
「宇治十帖」といいますと、
54帖あります源氏物語のうち、最後の10帖をいうのですが、
宇治を場面として書かれておりますので「宇治十帖」といいます。
「源氏物語」は、今や海外の方でも研究なさっている方がいらっしゃるほど
日本を代表する物語で
貴族の方も、絵巻を作って残すほど 愛読されていたのですね。
この、「源氏物語絵巻」は、2千円札の裏にも印刷されて話題になりました♪
江戸時代に作られたこの曲の歌詞も、
当時の人が読んでいるであろうことを前提に
歌詞では単語を織り込む形で書かれています(*^。^*)
まめ人=薫大将
色香も…匂ひに=匂宮
たちばな 小島=ひそかな逢瀬をした小島
といった様に書かれています。
浮舟は 薫と匂宮の板挟みに合い、悩んだ末に宇治川に身を投げようとして
果たせず横たわっているところを
僧に助けられ、仏門に入るのですが、
その宇治川の流れを手事という、
歌のない部分の合奏で表現しているとされています。
三絃は、物語の雰囲気が伝わる、
透明感がある音色の「二上がり」の調子で最初から最後まで弾きます♪
さて、宇治といえば
10円玉の裏にもあります、
宇治平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩をご存じの方も多いことと思います。
箏、笙、琵琶、鼓…様々な楽器を持っています。
他にも、舞を踊っていたり、歌っていたり…
その表情は皆穏やかで、
さぞかし豊かな合奏が…と音色を想像してしまいます(^。^)♪♪
古曲の演奏は、歌詞の理解が何よりの上達の要と思います。解りやすい解説有り難う御座いました。
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